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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)4017号 判決 1954年2月26日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人長崎祐三の上告趣意について。

昭和二〇年勅令第五四二号及びこれに基いて発せられた所論外国人登録令その他の命令は、日本国憲法にかかわりなく、同憲法施行後も同憲法外において法的効力を有していたものであること、および前記勅令第五四二号は、日本国との平和条約発効の日から廃止されたけれども、同勅令がそのため遡って無効となるものではなく、また同勅令に基いて発せられた命令は日本国との平和条約が発効したというだけで直ちに無効となるものでないことは、当裁判所大法廷判決の趣旨に照して明らかである(昭和二四年(れ)第六八五号同二八年四月八日大法廷判決「集七巻四号七七五頁」、昭和二七年(あ)第二八六八号同二八年七月二二日大法廷判決「集七巻七号一五六二頁」参照)。従って、前記平和条約が発効したとの一事を以って、右発効の日から施行された外国人登録法がその附則二項及び三項において外国人登録令を廃止すると共に廃止前にした行為の罰則の適用については、なお、従前の例によるものとしたことを違憲であるということのできないこともまた、右大法廷判決に徴し明らかである。

なお、記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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